劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライトのあれこれ
劇場版を観て感じた事、気付いた事、振り返りなどを個人的にメモ
冒頭の爆ぜるトマト
大きな音とショッキングな映像で観客の注意を引きつつ、なぜこれを最初に見せつけられたのかという疑問を残すことで最後まで答えが気になる構成にしている?
東京タワーが崩壊しポジションゼロが飛び散る演出
終盤で華恋がそうなったように、ひかりもあの時点でスタァライトの舞台を降りたことの示唆(自主退学した)
アニメ版最終話で横に伸びた東京タワーも砕けており、華恋との懸け橋がなくなり遠くのロンドンへ行ってしまった、約束は果たされたのでもう会うことはないという意味を持たせたかった?
なんで砂漠?
飢えなければ死に直結するというテーマを端的に表している。野生の厳しさがあり、大海原のように果てが見えず進むべき道が定まらない。卒業後は広大な海原あるいは砂漠を進んでいかねばならぬというメッセージ性。
遥かなるエルドラドの演劇
各々が進むべき航路(将来)が定まっているが華恋だけが取り残されている。
君を追って船に乗ったのに、君が行ってしまったら僕はどうすればいい?という劇中のセリフは、そのままひかりとの約束を果たすため舞台少女としてやってきた自分はスタァライトが終わってしまったら、卒業してしまったらこれからどうすればいいんだという華恋の苦悩を表している。実際、進路調査の紙に華恋だけ何も書いていない。
幼少期の二人の回想
初めての邂逅。この頃は二人の約束が交わされていないためか、薄暗い空に紛れて東京タワーは赤くなっていない。
ひかりは輝く舞台を引っ込み思案な華恋に教えたがっており、自分は華恋よりすごいものを知っているんだよという自慢をしている。子供っぽくほほえましい一幕である。
ここでは今までキラミラのような共通話題がなかった二人にスタァライトという繋がりができあがり、初めてひかりが華恋を呼び捨てにする。それほど仲が深まった(とひかりは思っているが、華恋だけはまだちゃん付けでよそよそしい)。
それと同時に、終盤で華恋がひかりを呼び捨てにしてライバルと認めたように、この時点でひかりは華恋を輝く舞台へ一緒に上がるライバルと認めている。輝きに目を奪われファンになってしまう恐れを払拭するかのように。
香子の「しょうもな」
オーディション、というよりトップスタァに未練があると読み取れる。
トップの座を賭けて競い合ったあの日々を忘れ、浮かれているみんなが牙の抜けた腑抜けに見えてしょうがないという苛立ちが伝わってくる。
実際、舞台少女ではなく観客側に気持ちが回っている節がありその辺はななも察している。
純那もかつては「観客気分なら出て行って。彼女たちを超えていかないと~」といった発言をしているが、現在はハングリー精神に欠けているように見える。
電車での会話
クロの「あれじゃまるでファンね」 純那の「今は、よ」が香子のしょうもな発言ともつながってくるシーン
この時点で「あぁ…やっぱり殺さないとダメだ」とななが決意する。
そんなことも露知らず楽しそうにななと話していた華恋だけが取り残されている。舞台少女としてすでに死んでいるのでわざわざレヴューに巻き込む必要がないとうことだろうか。
皆殺しのレヴュー
列車のアナウンス調にアレンジされたコール音と転がるキリンのエンブレムがさっきまでの浮かれた日常から非日常へと一変させる鳥肌シーン。
列車が変形しwi(l)d-screen baroqueが流れだした瞬間に脳内麻薬が刃牙並みに噴き出した。
ななの「オーディションにあらず」
オーディションとは選ばれた者達のなかで優劣をつけるためのもの。今回の場合はトマトの品評会と言い換えてもいいかもしれない。(かなりこじつけだが)
市場に並ぶブランド品のトマトにすらなれず、熟れて腐り廃棄されるだけのトマトを私はそれを剪定しているだけだと言わんばかりに淡々と摘み取っていくなな。
真っ先に星を弾かれた(剪定された)のが貪欲側の人間に思えた香子というのも皮肉な内容である。
ななの「喋りすぎ」
ここが舞台なら観客が見ている。そんな場所でセリフ以外の浮ついた言葉を垂れ流す暇があるならちゃんと演じろ(でなければ舞台少女として死んでしまうぞ)という喝、あるいは死人に口なしで喋る権利すらないという傲慢さのようなものが感じられる。
真矢だけは舞台に立つ覚悟と実力が備わっており上掛けを落とされていない。ななとしては合格といったところだろうか。
個人的に好きなシーンも補足情報として加えるが、並走する列車のライトの眩しさに気を取られたものの、飛び移るななをすぐに見据えたシーンからも真矢は別格という様子が伺える。
ななの「強いお酒を飲んだみたい」
額面通りに受け取るならば、実際にお酒を飲んだかのように自分は今そういう酩酊状態に近い状態だと宣言している。
アニメ版では変則で2vs2のチーム戦はあったが今回のような1vs6という極端な構図はなかった。それでも無双したという万能感に酔いしれている、あるいは電車の上で激しく動いて乗り物酔いしたなど色々と考察が捗る。
突然衝撃的なシーンを叩きつけられた我々観客も強いお酒を飲んだかのように呆然とするより他なく、ななはその気持ちを代弁してくれたとも考えられる。
真っ赤な光が差し込む玄関前に立ち尽くす華恋
ここだけがよくわからない。無理やりこじつけるなら
真っ赤な光=星積みの塔の上に輝く赤い二つ星の光=これから二人が初めて見るスタァライトの輝きに目を焼かれる未来の示唆であり、一度それを知ってしまうと普通の女の子には戻れないという警告色ではないかと考えられる。
幼い日に二人で見たスタァライト
舞台に立つことを諦めようとした幼少期のひかりを華恋が導くことで舞台上の死んだひかりが舞台少女として生き返るシーン。
(幼い二人の背後に輝くライトの光が重なって一つの大きな光となるシーンが地味にお気に入り)
終盤に同じシーンが出てくるまではあまり意識していなかったがかなり重要な場面だった。
決起集会
薄暗い部屋で話す特濃なまさあめを摂取して情緒がおかしくなった。
場面が変わり、スポットの当たらなかったモブクラスメイトが新しいスタァライトを演じることで自分たちに足りなかったものに気づく5人。バックで流れる舞台少女心得もニクい演出である。
今に満足するのではなくその先を目指すこと、舞台で演じ続けるということを各々が理解した矢先にサイケデリックに明滅する野菜キリンに目を焼かれ再度情緒がおかしくなった。こんなにも観るのが疲れる作品も珍しい(誉め言葉)
目の前に転がってくるのはなんでトマト?
赤色で瑞々しくて血肉をイメージしやすいから。赤い果実となるとりんごなどが想起されるが中は黄色なので血肉っぽくない。いちごやザクロも候補になりうるが我々の身近にあり本作を象徴するアイコンとしてトマトは使いやすかったのではないだろうか。
実際、Twitterのハンドルネームにトマトの絵文字をつけている人が散見され、それが本作を視聴した証として機能している。
運命の舞台で会う約束
東京タワーの先端が溶けているように見える。明滅する野菜キリンのせいで視力がイカれたとか映像の乱れかと思ったがちゃんと溶けていた。
ここはおそらく子供の頃の記憶だから先端がおぼろげなイメージになっているのだろう。あと微妙に回想シーンが違っていて、華恋が泣くシーンで滑り台に登っていない。これも子供の頃の記憶だから曖昧なのか、それとも今回はまた違う再演(周回)なのか、など妄想が膨らむ。
ひかりの参戦
冒頭で別れたひかりが華恋からメッセージを受け取りワイルドスクリーンバロックへ誘われる。
ロンドン:5/15 20:13←(9時間時差)→日本:5/16 5:13なのを鑑みると5/15の新国立第一歌劇団の見学から一夜明けても答えを出せなかった華恋は真っ先にひかりを頼りたくなったのだろう。
「青空の向こう」の公演
ノンノンってこの頃から言っているんだな~という小ネタ回収。あとポニテ華恋ちゃん可愛すぎ。
この頃は二人でスタァライトするという明確な目標があるので迷わず大海原を進んでいる。
「ひかりちゃんも、約束の舞台、目指していますか」
ミスドのシーンにも繋がるが、同級生が言っていたように夢に向かって一直線な華恋も人並みに悩んだり、約束を忘れられているかもと不安を抱えている。今まで主人公っぽさが前面に押されていた華恋から人間味を感じられる。
怨みのレビュー
お菓子箱、駄菓子まみれの腐れ縁など”お菓子”というワードが多い。
お菓子を貰うのは子供という甘える立場。まだまだ子供な双葉と香子の子供っぽい言い争いが始まる。
双葉は香子の傍ではなく同じ舞台に立つ舞台人として対等な立場でありたいと思いをぶつける。
対して香子は子供とは対極的な大人のキャバクラ嬢に扮し訴えを一蹴しながら
本音晒せや(色々御託並べてるけどウチの隣で世話するのが)うっとなったんやろ?(黙ってるってことは肯定ってことやな)表出ろや とブチギレる。
今までわがままに付き合ってくれた双葉が我を通すことを許せないが、それを許してあげられない自分がもっと許せない香子の複雑な胸中を演じる伊藤彩沙さんの演技は圧巻の一言。
そんな香子の気持ちも仏の前では筒抜けになってしまうという宗教性と欲望渦巻くキャバクラで本音を言い合わず大人の駆け引きが展開される二面性が同居するシチュエーションに思わず唸ってしまった。
最後はデコトラで我を通し続け、どちらが相手に路を譲るかのチキンレースに勝負がもつれ込む。清水の舞台から飛び降り(ここは塔から落ちるスタァライトとそれだけの覚悟を決めたというダブルミーニング?)結果的には香子が折れるものの、子供のわがままをぶつけ合う自分達の痴話喧嘩はなんてしょうもないんだと自嘲する姿は大人として成長した様子が伺える。決着の際、香子に跨る双葉の構図が凸(ポジションゼロ)となりふたかおのオタクの胸中は穏やかではないだろう。
競演のレヴュー
ここでも塔をモチーフとした聖火台が登場する。てっぺんで燃える炎は星のキラメキであり嫉妬に燃えるまひるの心でありみんなを照らす真昼の太陽。わかります。
ひかりの困惑をよそに始まった競演。歌詞とシンクロして競技が切り替わる様は非常に楽しい。
ハードル走:猫も歩けばそびえるのがハードルね
フェンシング:何もかも捨てたのよ
新体操:晴れ舞台この日の為に
テニス:何度でも打ち返すわ
バレーボール:1ミリメートル高く跳ぶわ
野球:どんな台詞(タマ)も打ち返すわ
シンクロナイズとスイミング:シンクロニシティ
バスケットボール:からカットイン
ボクシング:ストレートに勝つのもいい
ウエイトリフティング:ドラマ仕立ての逆転もいい
柔道:一本取って二本め行くよ
棒高跳:ちょっとでも高くちょっとでも強く
星(メダル)を弾かれレビュー終了かと思われたが、競争する相手がいないと成立しないのに演じないひかりへの苛立ち、そして華恋を取られたことへの積もり積もった嫉妬心を爆発させたまひるが冷たい視線と声色を向けてひかりを追い詰めるパニック(サイコ?)ホラーへと切り替わる。アナタガアナタガはトラウマ。岩田陽葵さんのね゛ぇっ!!!!は超トラウマ。
小ネタが潜んでいないか眺めているとエレベーターの階数が99→101へと変わるのは101期=現在の示唆、ひかりが追い詰められたT字路の通路も心なしかポジションゼロの形に見えるなど色々発見がある。
「最後の告白タイム。映し出されるよハイライト」という歌詞と重ねて塔(通路)から落ちたひかりは華恋の走馬灯(ハイライト)を見る。ここでも死を意識させるテーマが散りばめられており思わず舌を巻いた。
ミスターホワイト(白い粉が舞っているのでロジンバッグにもなっている?)の上すすり泣くひかりが胸中を吐露するとまひるは打って変わって優しく声をかける。蓋を開けるとひかりの本音を引き出すための演技であったとネタ晴らしされる(半分くらいマジのキレ方でしたよね?)
とはいえ負の感情に囚われるのではなくあくまで起爆剤として使い、演技に徹するまひるの姿はまさに本物の女優であった。この辺はアクタージュという漫画の羅刹女編を想起させた。
ライバルの背中を押して笑って送るまひひかの関係性が眩しいの…
(余談)ゴールテープを持つミスターホワイトの首が補修されてるのがジワる。
狩りのレヴュー
大場映画株式会社ってなに。そんな疑問を他所に与謝野晶子大場ななが切腹を命じてくる。俺は一体何を見せられているんだ。
言葉の矢が乱れ飛ぶ檻の中で防戦に徹するなな。佐藤日向さんの歌声の透明感がヤベ~俺も逃げ惑う虎の子になりて~とか思っていたら借り物の言葉と巨大な矢を切り伏せマウントを取った大場のターンが始まる。舞台少女は跨るの大好きなの?
ここからななの拗らせた巨大感情本音が吐露される。
「主役になれなくても諦めずにがむしゃらに突き進む純那ちゃんは愚かで美しかった。腑抜けて腐ってしまうくらいなら今ここで腹切って死ね!」
という今までの優しいみんなのばななだったルームメイトからは想像もつかない強い言葉をぶつけられ純那は泣き出してしまう。それもそのはず、アニメ本編でシリアスな一面を純那は見ていない上に、再演の中で膨れ上がった羨望や親愛、そして失望が「純那ちゃんがっっっ!!!」の一言に詰め込まれているのだ。並の人間なら心が折れてしまうのも無理はない。それはそれとして切腹用の小刀を足で突き出すところ、足癖悪すぎません?
二人のこれまでを切り取った写真からじゅんなななの関係性が端的に表現されており言葉にならない言葉が喉から漏れ出し限界オタクと化してしまった。
純那と自分の嗚咽がシンクロするのも束の間、再び立ち上がり「殺して見せろよ大場ななぁ!」という啖呵を切る。佐藤日向さんの叫び声ヤベ~(2回目)
得物を奪われながらも片手で圧倒するななと両手持ちでも敵わない純那の力量差。ズタボロになって転がる純那も痛ましいが、それ以上にもう幕を下ろして!と叫ぶななの悲痛な叫びはもっと痛ましい。
ワンサイドゲームかと思われた戦いだが、持ち前の泥臭さで食らいつく純那とそれに動揺してセリフが止まったななに反応して舞台の支配権が移り変わる。どれだけ高い実力があっても最もきらめいていたものが主役となるシステムは一貫されておりこの逆転劇にも説得力がある。メタ的な視点も含めるとアンダードッグ効果で観客の応援が純那に向かいヒーローショーさながらに鮮やかな勝利を掴んだとも見て取れる。
場面は転換しこれからは別々の道を歩むこととなる二人の未来が描かれる。分岐路も心なしかポジションゼロの形に見えなくもない。それはそうと高3年の5月に別れを告げて残りの同室生活はギクシャクしないのだろうか。
燃える宝石のように輝く幸福な日々の再演から抜け出し、次の舞台へ立つ為に友と訣別することで眩しさに届いたなな。そして「泣いちゃった」といじわるな意趣返しをしながらも振り返らず前に進む純那。二人の気持ちを思うとまた限界オタクと化してしまった。
二人の12年ぶりの再開
始めて出会った日のように雨が降る日。レッスンの帰りなのか外はすっかり暗くなり東京タワーが煌々と輝いている。雨と暗い空は約束を忘れられているかもしれないという華恋の不安を表し、心の拠り所としている約束(東京タワー)の明るさだけを頼りに日々を過ごしている。
そして5/14の運命の日に二人は再開する。華恋は席を立たないし寮への道のりが違っている(アニメ1話参照)のでやっぱりこれ違う再演(周回)なんじゃないの?という疑問が残る。
キリンとひかりの対話
なんなのよワイルドスクリーンバロックって ←ほんとだよ
キリンが糧として燃える ←分かります
空から落ちる ←わからない。星積みの塔から落ちるスタァライトのオマージュ?
線路に火が燃え移る ←これもわからない。誰か教えてくれ
魂のレヴュー
男装・オレサマ口調・悪魔役の西條クロディーヌ ←100点満点中5000兆点
英雄には試練を 聖者には誘惑を 私には悪魔を ←声に出して読みたい日本語
歴史上の英雄や偉人達に千変万化する二人。真矢クロの関係もそれらに似ているという描写だと読み取れる。
最後は圧倒的な実力を見せつけた神真矢とそれを出し抜くトリックスターな悪魔クロのやり取りに思わずニヤリ。口から星(ボタン)を出す悪魔クロのせいでニヤリがニチャリに変わる。
そこから悪魔という役を脱ぎ捨て切腹で死を迎えたクロは真矢を意識した前口上で高みから見下ろす。
キラメキを貴方に→観客に向けたセリフ
キラメキでアンタを→一個人に向けたセリフ
で対比になっているのも美しい。観客ではなく私を見ろ。むき出しのアンタを見せろというクロの激情が伝わってくる。
それに応じるように真矢も神という役を脱ぎ捨て、醜い感情を晒け出したひとりの人間として舞台に立つ。
輝くチャンスは平等→進路相談でのクロのセリフ
輝くチャンスは不平等→真矢の前口上
で再度対比することで考えは真逆でも似た者同士という関係性が浮き彫りになっている。
空中戦を繰り広げながら剣と気持ちをぶつけ合う二人とカメラワークがヤバすぎて語彙力を失い限界化。映像で見てくれ。
最後は一枚画として美しき人(クロディーヌ)が完成する。舞台少女として、トップスタァとして、終生のライバルとして常に先んじ頂点に君臨し続けた真矢が初めて目を奪われ、貴女は美しいと心からの賞賛を送るこの演出を考えた人こそが神だと思った。
そのまま十字架が燃え盛り、神としての真矢は死んでしまう(また死のテーマですね、わかります)。首を落とされた器の鳥の表面は溶け落ち、メッキが剥がされ悔し涙(美しさに感動した涙とも考えられる)を流している真矢へと切り替わる。
燃え尽きても再び舞台に上がり、燃えながら落ちていく炎として観客を魅了し続ける二人のライバル関係は続くのだとお互いを認め合い称え合う関係性に再度限界化。
スーパースタァスペクタクル
これまでの思い出を振り返りながら二人でスタァライトするという夢に囚われたままの華恋を冷たく突き放すひかり。
幕が開く演出で視点が切り替わり観客である我々も巻き込まれる。今まで何度かメタネタとして使われてきた手法だが、劇場版だと臨場感が凄まじい。
ここでようやく華恋がこの先の自分には何にもないと気付き、冒頭と同じくトマトが爆ぜる。
舞台少女として死んだ華恋を抱き抱え、華恋がひかりを舞台少女として生き返らせたシーンがまた流れ始める。競演のレビューで判明した怖かったという本音もここで再度回収され、華恋のキラメキに目を奪われてファンになることが怖かったという具体性を帯びる。
目を覚ましてほしいと願いつつも華恋本人が乗り越えるべき課題であるため「舞台で待っている」という新しい約束を交わしひかりは塔から華恋を落とす。
一方の華恋は積み上げてきた過去(ひかりとの約束を果たすための12年)をすべて燃やし尽くし、これまでのしがらみから解放される。再生産を経てまた舞台少女として生き返った華恋は
列車は必ず次の駅へ
舞台少女は次の舞台へ
という答えを得る。
その華恋をひかりが貫き、
「貫いてみせなさいよ。アンタのキラメキで」
と、胸の内を晒け出すよう問いかける。
「ひかりに負けたくない」
ここで初めて呼び捨てにし、親友ではなく同じ舞台少女のライバルとしてひかりを認めた華恋が胸に抱えていた想いは弾け、凸が噴出し、東京タワーがポジションゼロに突き刺さる(これだけ見るとマジで意味分からん)
舞台少女たちが上掛けを外し、それが未来にはばたく鳥のように舞っていく。
スタァライトを演じ切り、約束を果たした空っぽの華恋にトマトを手渡すひかり。
舞台で生きることへの答えと負けたくない悔しさを知った華恋は次の舞台へ────
圧倒的清涼感とホントのホントにレビュースタァライトが終わってしまったんだなという喪失感を残したままエンディングが流れ出し、とんでもない映像作品を見てしまった・・・という余韻に浸っていたら白ワンピを着て御淑やかにベンチへ座る大場ななに目を焼かれた。
まだまだ語り足りないし拾い切れていない小ネタはごまんとあるが
(五重塔(香子)、エッフェル塔(クロ)、自由の女神(純那)、時計塔(なな)など)
挙げだすとキリがないためここで筆を置かせていただく。
列車は必ず次の駅へ
ではスタァライトは?観客は?
分かります。